白内障手術で視界を取り戻す方法と注意点

白内障は加齢に伴って誰にでも起こり得る目の状態で、水晶体の濁りによって視界がかすむ、まぶしく感じるなど日常生活に支障が出ます。本記事では、手術の適応基準、実際の手術の流れ、術後の回復過程、合併症のリスク、費用の目安までをわかりやすく解説します。眼内レンズの種類や最新の手術法(FLACS)にも触れ、検診や医師との相談の重要性を強調します。白内障手術を検討している方や家族にとって役立つ実用情報をまとめていますので、安心して手術を考えるための参考にしてください。

白内障手術で視界を取り戻す方法と注意点

白内障手術で視界を取り戻す方法と注意点

手術を検討するタイミング

白内障は多くの場合、ゆっくり進行します。次のような症状が生活に影響する場合、手術を検討する目安となります。

  • 仕事や趣味に支障が出て日常生活の質が低下している
  • 眼鏡やコンタクトレンズを使っても十分な視力が得られない

進行の速さや症状の程度には個人差があるため、定期的な眼科検診で状態を把握し、眼科医と相談して適切なタイミングを決めることが大切です。

白内障手術の一般的な流れ

白内障手術は日帰りで行われることが多く、手術自体は短時間で終わります。代表的な手順は次のとおりです。

  1. 術前検査:眼の形状や度数、角膜の状態などを詳しく測定し、適切な眼内レンズ(IOL)の種類や度数を決定します。
  2. 麻酔:通常は点眼麻酔や局所麻酔で痛みを抑えます。全身麻酔は稀です。
  3. 切開:2〜3mm程度の小さな切開を行います。縫合が不要なケースが多いです。
  4. 水晶体の除去:超音波(超音波乳化吸引)やレーザー(FLACS:フェムトセカンドレーザー)で濁った水晶体を砕いて吸引します。
  5. 眼内レンズの挿入:折りたたんだ眼内レンズを挿入し、眼内で展開して固定します。
  6. 終了:手術時間は通常20〜30分程度。準備や回復を含めると病院での滞在は1〜2時間ほどです。

最新のFLACSは一部の工程をレーザーで行うことで精度を高める利点がありますが、施設や費用面で選択が変わります。

術後の回復と注意点

術後は比較的早く視力の改善を感じる人が多いものの、完全に安定するまでには数週間から数か月かかる場合があります。回復期間中の基本的な注意点は以下の通りです。

  • 目の保護:就寝時や外出時にアイシールドを着ける指示がある場合は従ってください。
  • 点眼薬の使用:感染予防や炎症抑制のために処方された点眼薬を指示通りに使います。
  • 入浴・洗顔:術後数日は目に水が入らないよう注意が必要です。プールや温泉は医師の許可が出るまで避けましょう。
  • 激しい運動や重い荷物の持ち上げ:術後1〜2週間は控えるのが一般的です。
  • 定期検診:術後の経過観察のため、予定された診察は必ず受けてください。

多くの方は1〜2週間ほどで日常生活の大半に戻れますが、個人差があるため医師の指示を優先してください。

合併症とリスクについて

白内障手術は安全性が高い手術ですが、以下のようなリスクがゼロではありません。

  • 感染症(術後眼内炎)
  • 網膜剥離
  • 術後の眼圧上昇
  • 二次白内障(後発白内障:後嚢が濁る現象)

これらの合併症は発生頻度が低いものの、症状に気付いたら速やかに受診することが重要です。早期発見により治療や対応が可能なケースが多くあります。

眼内レンズの種類と選択

眼内レンズには単焦点レンズや多焦点レンズなどがあり、選ぶレンズによって術後の見え方やメガネの必要性が変わります。単焦点レンズは遠方視に合わせることが多く、近くを見るときは眼鏡が必要です。一方、多焦点レンズは複数の距離で見やすくする利点がある反面、ハローやグレア(光のにじみ)を感じることがあるため、生活スタイルや職業、希望を医師とよく相談して選びます。


手術方法 眼内レンズの種類 概算費用(片眼)
通常の白内障手術 単焦点レンズ 5万円〜10万円
通常の白内障手術 多焦点レンズ 30万円〜50万円
FLACS 単焦点レンズ 20万円〜30万円
FLACS 多焦点レンズ 50万円〜70万円

記載の費用は目安です。実際の金額は施設や選択するレンズ、手術の内容によって変わりますので、治療前に医療機関で確認してください。


最後に:判断のポイント

白内障手術は視力を回復し生活の質を高める有効な手段です。ただし、手術の必要性、最適な時期、使用する眼内レンズの種類は個々の状況で異なります。定期的な眼科検診を受け、症状や生活への影響、費用やリスクについて主治医と十分に話し合ってから決定してください。

本記事は情報提供のみを目的としており、医療アドバイスとして扱うべきではありません。個別の診断や治療については、資格のある医療専門家にご相談ください。