目の外傷時の初期対応と受診のタイミング

視力 (vision) の初期評価はどうする？

目の外傷後、まず視力の変化を確認します。暗い場所で見えにくい、視力が急に落ちた、視野に黒い影や光の稲妻が見える場合は重大な合併症の兆候です。受傷直後はショックや疼痛で正確に申告できないことがあるため、可能であれば片眼ずつ比べて視力の違いをチェックしてください。コンタクトレンズ (contacts) を装着している場合は、外傷の種類によってはすぐに外す必要があるため、専門家の指示に従ってください。

角膜 (cornea)の傷の対応は？

角膜に擦り傷や異物が入った場合は、こすらないことが最優先です。清潔な水や生理食塩水で優しく洗い流し、異物が表面にあるだけであれば自然に除去できることがあります。ただし、鋭利な金属片や化学薬品が関与する場合は、洗浄後も強い痛み、流涙、まぶしさが続くなら早めに眼科を受診してください。角膜損傷は感染や瘢痕化で視力に影響を与えるため、適切な抗菌点眼や場合によっては局所麻酔下での処置が必要になります。

網膜 (retina)損傷の疑いはいつ受診？

打撲や強い衝撃後に、視界に黒点が増える、視野の一部が欠ける、光の点滅（光視症）が起きる場合は網膜損傷や網膜剥離の疑いがあります。眼底検査や網膜の詳細検査が必要で、放置すると不可逆的な視力低下になることがあるため、これらの症状が生じたら速やかに眼科を受診してください。外傷後は網膜の状態が時間経過で悪化することがあるため、受傷直後だけでなく数日間は注意深く観察を続けることが重要です。

画像診断 (imaging)と検査の役割は？

外傷の程度評価には、スリットランプや眼底検査に加え、必要に応じて超音波検査（B-scan）、CT、MRIなどの画像診断が用いられます。眼球穿通（突き刺し）や眼窩骨折の疑いがある場合はCTが有用で、血液や組織の混濁で眼底が直接見えない場合はB-scanで網膜剥離や眼内出血を確認します。これらの検査により、外科的処置（surgery）が必要かどうか、また全身麻酔や入院の必要性があるかを判断します。

外科的処置 (surgery) が必要なケースとは？

眼球穿通、重度の角膜裂創、網膜剥離、眼内異物、広範な眼窩骨折などは外科的介入が必要になります。手術の目的は眼球の保存、感染予防、視力回復の最大化です。手術は緊急で行われる場合があり、術後は画像診断（imaging）や綿密な経過観察が求められます。白内障 (cataract) や緑内障 (glaucoma) の既往がある患者では、外傷がこれらの状態を悪化させる可能性があるため、治療方針の調整が必要になることがあります。

小児 (pediatrics)の外傷で注意する点は？

小児は怪我の内容を正確に説明できないことが多く、外見上軽症に見えても深刻な眼内損傷が隠れていることがあります。遊具や玩具、鉛筆などによる刺創、化学薬品の飛沫、拳やボールによる打撲は注意が必要です。小児では感染リスクや癒着による長期的な視力障害を避けるため、保護者が速やかに専門医に相談することが推奨されます。

受診のタイミングと緊急度の目安

緊急受診が必要なサインには、視力の急激な低下、強い疼痛、眼球の変形や突出、持続する出血、化学薬品暴露、光視症や視野欠損があります。これらがある場合は救急外来や眼科の緊急対応を受けてください。一方で、軽度の異物感や小さな擦り傷で症状が安定している場合は眼科を早めに受診し、適切な点眼やフォローを受けることで合併症を防げることが多いです。

結論として、目の外傷は初期対応がその後の視機能に直結します。応急処置は冷静に行い、重篤な症状や不確かな場合は専門医による評価を優先してください。適切な検査と必要に応じた外科的治療により、視力の保護と回復を図ることが可能です。